失恋の切なさを感じさせるポルノグラフィティの『サウダージ』。
女性視点ですが、男性も女性も共感できる曲じゃないでしょうか。
今回は『サウダージ』をもっと深く味わうために、曲の背景を調べたり、タイトルや歌詞の意味を考えたりしました。
目次
ポルノグラフィティ初のミリオンセラー
『アポロ』、『ヒトリノ夜』、『ミュージック・アワー』に続く4作目のシングルとして2000年9月13日に『サウダージ』はリリースされます。
作曲はak.homma(本間昭光)さん、作詞はハルイチさんです。
この作品でポルノグラフィティはオリコンチャート1位をはじめて獲得しました。
オリコンチャートは日本で1番知名度があるヒットチャートで、そのトップに立つことはバンドとして売れることを目指す人達の1つの目標になっていますが、この時のことをハルイチさんは『自宅にて』で次のように語っています。
確かに今、僕がいる場所は、因島で鼻垂らして自転車乗り回してたころから見ると、夢に見た世界にいると思う。
そう、夢が叶ったことになる。するとどうでしょう?毎日が夢心地?もう死んでもいい?
・・・・・・全然、そんなことないんすよね。例えば「サウダージ」がオリコン1位になった。「オリコン1位ってすごいことよね?」って周りのスタッフに問いかけてる自分がいる。
なかなか1位なんてとれるもんじゃないってことぐらい僕だって知ってる。それはそれとして大喜びしても許されることも知ってる。
けど”ばんざーい”って感覚じゃないんよね。他のふたりも似たようなもんだろう。
(引用 :夢の話 | 『自宅にて』)
夢が叶ったことを喜びつつも冷静に受け取っていました。
タイトル『サウダージ』の意味
サウダージはポルトガル語で郷愁/郷愁、憧憬、思慕、切なさなどを表す言葉です。
サウダージ(saudade、あるいはサウダーデとも)とは、郷愁、憧憬、思慕、切なさ、などの意味合いを持つ、ポルトガル語およびガリシア語の語彙。ポルトガル語、およびそれと極めて近い関係にあるガリシア語に独特の単語とされ、他の言語では一つの単語で言い表しづらい複雑なニュアンスを持つ。
(引用 : サウダージ (2017/06/08 13:35 UTC 版) | フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
失恋をした時は様々な思いが浮かびます。例えば「失恋の相手を忘れたいけど、でも大切な思い出として残しておきたい」みたいな矛盾した感情さえありえます。
そうしたひと言で表すのが難しい感情を、複雑なニュアンスをもつサウダージという言葉を使って表現しようとしたんだと思います。
『サウダージ』のテーマ
ハルイチさんは『サウダージ』のテーマを次のように語っています。
「男にも女々しい部分はあるからそれを書きたかった」
(引用 : サウダージ (曲)(2018/02/13 13:35 UTC 版) | フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
男性はプライドを守るために失恋した時に強がろうとしがちです。女性のように悲しさを表に出さない人が多いです。でも、心の中では女性と同じようにうじうじするし、苦しんだりもします。
そんな男性の女々しさを表現するのが『サウダージ』のテーマです。
歌詞の意味の解釈では、どのように女々しさが表現されているかを追います。
『サウダージ』の歌詞の意味・解釈
簡単に乗り越えられない失恋
私は私と、はぐれる訳にはいかないから
いつかまた逢いましょう。その日までサヨナラ恋心よ
(引用:『サウダージ』 作詞:ハルイチ 作曲:ak.homma)
失恋した時の行動は人や状況によって様々です。ある人はすぐに次の恋愛に向かいますし、またある人はしばらく恋愛から目を背けようとします。
『サウダージ』の主人公である「私」は後者で、しばらく恋愛から離れる決心をします。
恋愛のことを考えると失恋のことを思い出して、自分を見失ってしまう、普段の自分でいられなくなってしまうからです。
また、曲の冒頭であるこの部分は頭サビになっています。恋愛から離れるという決心には、叫ぶような強い思いが込められています。
叫ばなければいけない決心は、裏返すと気を抜けばすぐ揺らいでしまう危ういものです。
『私』は失恋を受け止め、しばらく恋愛から離れることで前に進もうと思ってるけど、すごく辛くて苦しい状態です。
大切な思い出として残そうとする女々しさ
主人公は恋愛から距離を置こうとしていますが、失恋相手の『あなた』のことを忘れたいわけではありません。
涙が悲しみを溶かして、溢れるものだとしたら
その滴も、もう一度飲み干してしまいたい
凛とした痛み胸に、留まり続ける限り
あなたを忘れずにいられるでしょう
(引用:『サウダージ』 作詞:ハルイチ 作曲:ak.homma)
『あなた』のことをを忘れる努力をした方が、早く苦しさから抜け出せるはずなんですが、忘れたくない。
『私』にとって、『あなた』との恋愛には幸せな時間もあったからです。
時を重ねるごとに、ひとつずつあなたを知っていって
さらに時を重ねて、ひとつずつわからなくなって
愛が消えていくのを、夕日に例えてみたりして
そこに確かに残るサウダージ
(引用:『サウダージ』 作詞:ハルイチ 作曲:ak.homma)
例えばTwitterで
「辛いのでしばらく恋愛はしません。彼女のことは大切な思い出として心にしまっておきます。」
と投稿したら、書くかどうかは別として「男ならうじうじすんなよ!さっさと忘れて次いけよ!」と内心思っちゃうかもしれません。
でも、私は男性ですが過去を振り返ってみると、たしかに似たような感情を抱いた覚えがあります。失恋して苦しくて、早くこの苦しみから逃れたいんだけど、幸せな時間もあったからそれは心に留めておきたい。
非効率だし、未練がましいこの感情は人にみせたくないですが、これが『サウダージ』で表現したいものだと思います。
共感しやすくするための女性視点
ちなみに男性の女々しさを表現するのに、あえて女性視点の歌詞にした理由が気になります。
たぶん女性視点の方が、女々しい想いに共感を得られやすいからだと思います。
男性視点で女々しさ全開にしてしまうと、男性は「いやー、俺はここまで女々しくないわー」となりますし、女性からは「なよなよした男は嫌!」となりかねません。
女性視点にすれば「あー、ちょっとわかるわー」と男性は素直に聞けますし、女性は「そうそう!めっちゃわかる!」となりやすいでしょう。
これによって、表現したいことは男性の中にある女々しさですが、曲を聞く人には男女ともに共感を得られる歌詞になりました。
まとめ
『サウダージ』の歌詞の意味を解釈しましたが、いかがだったでしょうか。
自分で歌詞を深掘りして考えると、また違った視点で曲を楽しむことができるので、ぜひやってみてください!
中にはそんな感情もない人がいます。
平気で二股をした挙句音信不通になった人を知っています。
そういう寂しさやうじうじしてしまうのは人として当たり前です。
寧ろ、普通のことであり当たり前の感情ではないかと思っています。
日数時間関係なく過ごしていたんですから。
ですが、その人には何も残っていませんでした。
別れの言葉さえありませんでした。
恋愛は汚くずるくなるもの。
ただ、逃げるのは卑怯です。
ごめんなさい。
私の過去の黒歴史を思い出してしまいました。
なんか切ないですね。
それもサウダージなのかもしれませんが。
黒歴史と書いてありますが、そういう経験があると、
少しのことでもまぶしく感じることが出来るかもしれません。